電子帳簿保存法再延長か?
************
電子帳簿保存法再延長か?
************
今月7日、NHKが
「取り引き書類 電子保存義務化 与党税調 猶予延長議論の見通し」
というニュースを報じました。
令和4年12月に発表される税制改正大綱に
猶予期間の更なる延長を載せるかを
検討するということです。
まとめるとこんな感じ。
●与党の税制調査会は、2023年12月までの
電子保存義務化の猶予期間の延長を議論する見通し
●年間売り上げ1千万円以下の事業者の半数以上
「内容をよく理解しておらず何もしていない」から
本来であれば、この電子帳簿保存法は、
令和4年1月に開始されるはずだったのですが、
「多くの中小零細企業が対応できていない」ということで
令和6年1月まで2年間延長されました。
その延長期間も残り1年ちょっとになったのですが、
中小零細企業の対応状況に大きな改善は
見られないようです。
**********************
電子帳簿保存法に対応できないとどんな罰則が?
**********************
延長されるのはありがたいですが、
いつかその時は来ます。
では、電子帳簿保存法に対応できないと
どうな罰則があるか?
●青色申告が取り消される
●損金が否認され、加算税がかかる
可能性が出てきます。
***********
本当に罰則はかかるの?
***********
国税庁が発表している
「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」
令和4年6月)では次の記載があります。
●青色申告の承認の取消しについては、
保存要件の違反があったことをもって
直ちに必ず行われるものではなく、
「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」に基づき、
真に青色申告書を提出するにふさわしくないと
認められるかどうか等を検討した上で
行うこととしています。
●電子取引の取引情報に係る電磁的記録の
保存義務に関する今般の改正を契機として、
電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、
その事実をもって青色申告の承認が取り消され、
税務調査においても経費として認められない
ことになるのではないかと心配している方が見られます。
しかし、これらの取扱いについては、
従来と同様に、例えば、
その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、
保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から
確認できるような場合には、
それ以外の特段の事由が無いにもかかわらず、
直ちに青色申告の承認が取り消されたり、
金銭の支出がなかったものと
判断されたりするものではありません。
上記の一問一答の内容から、
仮装隠ぺいなどの悪質なことはなく、
普通に正しく申告していれば、
電子帳簿保存法がスタートした後に対応に不備があっても
税務調査で大きな問題にはならないのではないかと
思われます。
***********
優良な電子帳簿要件とは
***********
●電子データに訂正・削除などの加工を加えた場合、
それらの操作が記録として残るシステムで保存すること
●通常の業務処理期間を過ぎた後に入力した場合、
入力した日付がわかるシステムで保存すること
●電子データ化した帳簿とほかの帳簿の関連性を確認できること
●システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、
操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
●保存場所に、パソコンなどの電子計算機・
プログラム・ディスプレイ・プリンターおよび
これらの操作マニュアルを備え付け、
形式や見た目を整理した状態で、
画面や書面などに速やかに出力できるようにすること
●取引年月日、取引金額、取引先の記録項目により検索できる
●日付または金額の範囲指定により検索できる
●二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により記録できる
**************
改正後必須となる保存要件とは
**************
●システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、
操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けること
●保存場所に、パソコンなどの電子計算機・
プログラム・ディスプレイ・プリンター
およびこれらの操作マニュアルを備え付け、
形式や見た目を整理した状態で、
画面や書面などに速やかに出力できるようにすること
●保存義務者が、税務職員の質問検査権に基づく
電子データのダウンロードや提示の求めに
応じられるようにしておくこと
***
まとめ
***
コストはかかる、手間はかかる、
だからと言って売り上げや利益が増えるわけでもありません。
いったい誰のための法改正なのか?
中小零細企業いじめにしかなっていません。
延長ではなく、
「さっさとやめてしまえ!」
と思っています。
(2022年11月21日投稿)
Comments