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固定費の削減とまとまった資金の確保を同時に行う方法

 資金繰りが苦しい時に思いつく方法は、個人のお金を会社に貸し付けることや銀行から借り入れをするなどの資金を調達することと、役員報酬を下げることや設備投資を減らすなど出ていくお金を減らすことの両面からの方法があると思います。


 今回は、一時金の調達と支出を減らすことを同時にできる、あまり知られていない方法をお伝えします。


 皆さん、自社で生命保険には加入していますでしょうか。おそらく大半の経営者の方は何らかの形で加入されていると思います。その中で保険営業マンから節税になると勧められたであろう、資産性がありかつ保険料を損金で落とせる定期保険の商品がないでしょうか。2019年に損金算入のルールが変わり、今はあまり保険会社が節税を強調していない商品です。


 実はこの定期保険、保険会社にはよりますが、多くの商品が保険期間を変更できます。例えば40歳時に年払保険料200万円で保険期間100歳、保険金額1億円、50歳の時点で解約すると1200万返ってくるような定期保険に入っていたとします。解約でもまとまった資金は確保できますが、ここで問題になるのが解約してしまうと保障自体が無くなってしまうことです。解約後再加入しようと思うとそもそも以前より年齢が上がっていますので、同じ補償内容の保険に加入しても保険料は高いですし、さらに健康状態がよろしくない方は、さらに保険料が通常より割り増しになることや、大きな病気をされている方は加入できないということもあり得ます。そういう時に、定期保険の保険期間変更を行うとどうなるでしょうか。


 例えばこの保険を保険金額は変えずに50歳の時点で、保険期間60歳までの定期保険に変更するとします。そうすると、40歳で保険に加入したとして保険料が再計算され、保険料が年間50万円ほどに下がります。それに加え、100歳満期の保険での50歳時点での解約返戻金(解約した時に戻ってくる金額)と60歳満期の保険での50歳時点での解約返戻金額の差額(この場合1000万円程)が戻ってきます。


 そうすると、一時金で1000万円程確保でき、かつ毎年出ていくお金を150万円減らせますので、資金繰りに余裕が出てくると思います。それに加え、解約と違い1億円という補償も残すことが出来ます。そして、会社の資金繰りが良くなったときに改めて保険期間を延ばすことも可能です(健康状態により延ばせないこともありますので、その場合には保険料は上がりますが更新して継続するということになります)。



 この方法は保険営業マンでも知っている人は少ないので、保険料支払いが負担になっているという話をすると、一部解約や払済変更、契約者貸付の提案はしてきますが、保険期間変更の提案をしてくる営業マンは稀です(もちろん保険期間変更が出来ない保険商品や保険会社もあります)。資金繰りに困ったときは、一度保険期間の変更を検討してみてはいかがでしょうか。


(おまけの話)

保険期間を短くするのではなく、反対に延ばすこともできます。例えば会社立ち上げたばかりのころ、あまり保険料を払えなくて、10年の定期保険に加入してそのままになっている場合、資金繰りに余裕があれば保険期間を延ばすことで、加入した時の年齢で且つその時の料率で保険料を計算してくれ、なおかつ資産性の保険に変えることが出来ます。ただし、今の保険と伸ばした時の保険の解約返戻金の差額を一時金で支払う必要が出てきますので、ご注意を。昨今の低金利で同じ年齢でも10年前と今では保険料が違いますし、年齢が上がれば保険料が高くなりますので、短期の定期保険に加入の方は一度検討されてはいかがでしょうか。



注:文中でも記載した通り、全ての保険商品が保険期間変更できるわけではありません。加えて、その時の健康状態や諸条件により保険期間変更が出来ない保険会社もあります。そして、短くした保険期間を再度延ばすときにも健康状態を問われる保険会社もあります。実際に保険期間変更を検討される場合、まずは、ご自身が加入されている保険会社へ問い合わせをお願いいたします。

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